P010 都市緑化における視覚的な緑の量と質が歩行者に与える印象
都市緑化における視覚的な緑の量と質が歩行者に与える印象
〇吉田尭史1、大野朋子2
1 神戸大学国際人間科学部
2 神戸大学大学院人間発達環境学研究科
要旨
本研究は、今後の都市緑化計画において効率的かつ質の高い展開を論考するため、都市空間での歩行者の多様な緑への視認と印象を明らかにすることを目的とした。
神戸市中央区の景観計画区域とその周辺をモデル地域とし、街路空間を対象に歩行者目線で写真撮影を行った。街路写真をもとに緑視率、植物種、緑の配置、緑化方法について類型化し、アンケート調査によってこれらの多様な緑が歩行者に与える印象を把握した。
街路写真の平均緑視率を算出した結果、景観計画区域は17.1%、周辺地域は12.8%であった。これまでの研究では緑視率25%以上で人は緑を多く感じると報告されているが、緑の量だけでなく質的な情報も併せて都市の緑を評価していく。
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この投稿へのコメント
図6上にある棒グラフの読み取り方がよくわからないので補足いただけますでしょうか。
三原様
ご質問ありがとうございます。また、読み取りづらいグラフとなり申し訳ございません。
ご質問のお答えをさせていただきます。
こちらのアンケートは14名の方にA~Gまでの7枚の写真を「緑の豊かさ」に関して1位から7位まで順位付けしてもらいました。そして、各写真に対して集まった順位の票数を集計し、グラフにしています。なので、全ての写真に対して14票ずつ集まっています。
例えば、Aの写真に対しては1位と7位に4票、2位と5位に2票、3位と4位に1票、6位に0票の計14票となっており、「緑の豊さ」という観点で最も高い評価をする人と最も低い評価をする人が4名ずついました。
緑の質にも着目した緑化の有効性につながるご研究と感じました。
一方で、「調査及び解析方法」の3では質的な緑視状況から量的なイメージを評価するとしており、結果3で質を量的なイメージで評価されています。質を量に転換して評価された理由をご教示いただければと思います。
また、今回は生垣と街路樹に着目されていますが、例えば生垣が伸びていたり生垣から雑草が飛び出ていたり、街路樹の葉がほとんどないような強剪定がされているなど、まさに緑の質といえる状況が歩行者に与える印象はどのようにお考えでしょうか。
浦崎様
ご質問ありがとうございます。
まず、1つ目のご質問に対してお答えさせていただきます。
A~Gまでの7枚の写真は調査対象地で計測された緑視率(14.4%)と同じ緑視率になるように作成しています。そして、緑視率という客観的な指標が同じであってもの緑化方法・街路樹種・配置などの質的な工夫によって「緑の豊かさ」の感じ方が変わるのではないのかという考えを基に本研究を進めています。そして、質的な違いによる量の感じ方の変化に着目した結果をポスターの方に記載しております。また、ご指摘いただいた通り「質を量的なイメージに転換して評価する」だけでなく、「質を質的なイメージ」で評価する必要があると考えているので今後の研究の流れとしては「快適性」や「親しみやすさ」というような質的な評価も調べようと考えています。
次に、2つ目のご質問にお答えさせていただきます。
生垣に関しては視覚が遮られるかどうかで印象が大きく異なっており、どちらが良いかは評価項目や観点によって変わるので各街路の役割に応じた生垣の整備が求められると考えています。また、街路樹に関しては高い強度で剪定されている街路樹は緑視率の減少に繋がるので歩行者からの印象は悪くなると考えています、一方、全く剪定されずに生い茂っている街路樹は周辺景観を損ねることになるのでそちらも印象としては悪くなると考えています。そこで、ポスターに掲載している「景観計画地域」では適宜街路樹を整備することが明記されており、それが図3のような街路における緑視率のバラつきの少なさに繋げっていると思われます。
ご回答ありがとうございます。
図3の読み方について納得いたしました。ご研究が適切な緑の質向上のための予算配分につながるのではないかと、興味深く拝読いたしました。
ご回答ありがとうございました。よく分かりました。
どのような街路樹の配列が好まれるのか、
データからはばらつきがあり簡単に読み取ることは難しいですが
興味深く読ませていただきました。