P7 にぎわいを生み出す都市公園の緑とPark-PFIの活用

にぎわいを生み出す都市公園の緑とPark-PFIの活用
〇上田詩織1、大野朋子2
1神戸大学国際人間科学部
2神戸大学大学院人間環境学研究科

要旨
全国で多くの公園がPark-PFI制度を導入しているが、利用者のにぎわいや地域活性への効果には差があり、その要因は明確ではない。本研究は、公園管理者や利用者へ聞き取り調査を行い、地域の課題に即したPark-PFI活用と緑地空間を考察することを目的とした。
Park-PFIの現状について、公園の管理者はこの制度への満足度は非常に高く評価しており、その理由として「公園の楽しみ方の増加」「話題性の向上」「利用者の増加」の意見が多く挙げられた。また、公園の魅力向上には公園施設と緑地に民間のノウハウを活かすことが有効と考えており、利用者の緑地空間への期待度、拡充が求められるなか、公園施設と緑地の高い関連性が今後の公園に求められることが分かった。

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この投稿へのコメント

  1. 浦﨑真一 said on 2022年10月22日 at 6:29 PM

    興味深く拝読いたしました。施設だけでなく緑地の魅力を向上させるということに共感します。単なる舗装された広場でもできることではなく、公園の特性を活かした施設が導入されることに意義があると考えます。経済的利潤の増加があまり評価されていませんが、売上があまり公園に還元されていないということでしょうか。公園内と一般地で、商品価格(売上)と地代家賃(経費)といったバランス(地代は周辺の一般地より安いのに商品は高く、その分の還元もあまりされていないといったことは起きていないか?など)の比較に興味があります。公園のジェントリフィケーションで利用者を狭めてしまうことや、適正な還元がなされているかどうかに懸念を覚える面もあると感じています。コメントでした。

    • 上田詩織 said on 2022年10月23日 at 3:47 PM

      浦崎様

      コメント・ご質問ありがとうございます。

      公園でだからこそ作り出せる、施設と緑地がマッチングした空間が求められると考えているため、今後も2観点に着目して研究を続けさせていただきます。

      経済的利潤の評価に対するご質問についてお答えさせていただきます。通常、施設の設置管理に係る使用料については、条例等で定める額を徴収することとなっていますが、P-PFIでは、使用料の価額競争を可能とするため、条例で定めた額ではなく、認定公募設置等計画に記載された使用料の額を徴収することとされています。
      このため、選定された事業者が支払う実際の使用料は、各公園によって異なります。

      さらにP-PFIでは、飲食店、売店等の公募対象公園施設の設置又は管理とともに、その周辺の園路、広場等の特定公園施設の整備、改修等を一体的に行うことが事業者に求められます。特定公園施設の整備、改修は、使用料のように金銭として直接的に還元されるものではありません。

      このように、使用料が各公園によって異なること・特定公園施設の整備といった金銭以外の間接的な還元がなされていること等により、公園管理者は経済的利潤の増加を評価しづらい状況にあるのではないかと考えております。

      使用料額の決定が公園に委ねられ、公募対象公園施設と特定公園施設とが一体となった質の高い維持管理を促せることは、P-PFIのメリットである一方で、管理者への還元という面では曖昧であり、マイナスな見方もできると感じます。

  2. 広脇 淳 said on 2022年10月23日 at 11:18 AM

    パークP F Iは全国的に広がりを見せていますが、公園利用者の増加など導入の目的をどういう視点で評価検証することは大変重要だと思います。評価指標などについて研究を展開していただきたいと思います。

    • 上田詩織 said on 2022年10月23日 at 3:47 PM

      広脇様

      コメントありがとうございます。

      P-PFI導入理由として、私が実施した24公園の管理者に対するアンケート結果では、第一に「公園施設の魅力度向上」第二に「来園者数の増加」第三に「公園緑地の魅力度向上」「公園管理の負担軽減」でした。

      民間のノウハウを活かした施設と緑地の魅力向上とそれに伴う来園者数の増加や管理の負担軽減について、今後は管理者と利用者という異なる視点からアプローチし、研究を進めようと考えております。